FC2ブログ
2018 09 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2018 11

スポンサーサイト

 【--//--】

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Category: スポンサー広告

Comments (-)Trackbacks (-) | トップへ戻る

オクジョウ日記 第3話

 【05//2016】

未来と別れた三人は、商店街を並んで帰っていた。時刻は午後9時を過ぎようとしている。詩織の連れてきていた少女を家に帰さなくてもいいのかと、英輔が尋ねた。詩織は大丈夫、その一言のみを話した。少女も詩織に懐いている事から、そう深くを追求することはしなかった。
商店街は、賑わいを見せる事無くシャッターを下ろし、また似たような明日を迎える。そこには朝も、夜も、冷えた灰色の壁でおおわれている。英輔は大学入学後、ある人物と出会った。街開発を携える企業の代表者。その声は力強く、他より一歩、二歩と先へ進む。この町も当然、開発対象とされてはいたが、この商店街が残されるという案は浮かんでいなかった。刻々と人口の減る中、若者が移り住むこともなく都会へ羽ばたいてしまう。その状況下で、限られた知識と行動力のみで、自ら率先して動こうとするならば名指しで笑られることも少なくはなかった。そういった時期に舞い込んできた、凪の死。動こうとした時間を、再び戻されるような感覚。あの瞬間を境に、今まで行動しようとしたすべてを投げ出そうと考えた。それを救ってくれたのは、詩織だった。








PHOT000000000000F7F5_500_0.jpg


家でお酒でも飲まない?そう誘われ、英輔は詩織の家に上がった。現在一人暮らしの彼女の部屋は、比較的整った内装で、あまり女性らしい印象は受けなかった。机の上にはパソコンと、いくつかの書籍。そのほとんどが小説だった。少女は疲れたらしく、詩織のベットの中で眠り始めた。おそらく親戚の子が誰かだろう。姿かたちは詩織自体に似てはいない。似てはいなかったが、面影はどこか、いつか見た風景の一部に似ている。そんな気がした。英輔は毛布を掛け、しばらくテレビ画面を眺めていた。やがて詩織が冷えた缶ビールを二本持ち、机を用意し始めた。英輔が買ってきたおつまみを広げ、起きないように、二人は静かに晩酌を開始した。




「・・・都会、行かないの?」

「なんで」

「変わらないよ、この町は」

「・・・甘いな。あめぇよお前。この町には映画館がある、酒場も駅も、ボーリング場もある。子ども達の通う学校もある。街ってのは、その断片同士が協力し合って盛り上がるんだ。だから俺は、この町からは離れない」

「・・・そっか」

「詩織、出発は・・・来週か」

「うん」

「来週か・・・。遠いよな、横浜か。うん、遠いわ。マジで遠いわ横浜って」

「別に来なくてもいいからね」

「なんかひどくない?」

「来なくてもいいってのは、心配されなくてもいいって事。正直英輔って、私の事舐めてるでしょ」

「・・・舐めていいの?」

「意味が違う」





w621_ice_11.jpg



「・・・想像してたんだ。あと何年、何十年も先にさ、俺たち会えてるのかなとか。きっとそのころには結婚したり家庭持ったり、もしかしたら死んだりして、会えなくなると思わないか?顔も、声も、姿も癖も、記憶の断片から、徐々に徐々に削れていって、パーツを組み立てる事すらできなくなって。それがさようならって事なんだろうか。そのたびにさ、ガキの頃は本当楽しかったなぁって思うわけだ。明日が来るのが楽しみで、毎日遊んで、約束をして。デートみたいなもんだ。誰かと会える喜びってのが、ガキの頃にはあった。それが自然と大人になれば、それが次第に綻んでいく。会いたい奴らに会えない日々が、記憶が、また新たな出会いを求めてしまって。楽しくねぇよなぁ。それは」

「別れもまた、出会いの一つと考えたら、結構楽に思えるよ」

「いや分からん、そんな哲学じみたことを言われても、俺には分からん」

「逢えない事はあっても、必ず忘れたりしないから。絶対」

「ほんとぉ?ほんと詩織さん。本当ですか?」

「絶対本当です」

「忘れたりしないよね?俺、この町にいるから会いに来てくれるよね?」

「絶対会おうよ」

「嬉しい・・・嬉しいですよ詩織さん」

「はい」

「舐めていい?」

「それはやめろよお前」


スポンサーサイト

Category: 小説 「幕があく」

Comments (0) | Trackbacks (0) | トップへ戻る

Commentform


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

プロフィール

ゴブリン

Author:ゴブリン
ブログをはじめ早4年
たまにマニアックな記事を書くこともありますw

興味のあるもの
 ・ウルトラマン、ゴジラ、ガメラ等の怪獣特撮全般
 ・検索してはいけない言葉
 ・世界観のある音楽(galileo galilei等)
 ・旅 (主に建造物や景色がいい場所に足を運ぶ)
 ・小説 (将来は作家希望だったり?)
 ・クレヨンしんちゃん&ドラえもん
 ・ジャンプ連載作品
 ・演劇 (高校では演劇部所属)

まだ乏しい身ですが、応援のほどよろしくお願いします
  

ツイッターやってます。フォローよろしくお願いします

https://twitter.com/goburingikon

カテゴリ

おしゃべりtime

フリー掲示板

jj

現在の閲覧者数:

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
趣味・実用
4195位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
940位
アクセスランキングを見る>>

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
趣味・実用
4195位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
940位
アクセスランキングを見る>>

フリーエリア

HTML

カテゴリ

ブロとも申請フォーム

いえい

QLOOKアクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。